心身の緊張を取り除いたり、気分転換をするのにストレッチはとても効果的です。デスクワークや集中のしすぎで日頃あまり動かない人は、蓄積した疲労から心身に不調が出ることも。本記事では、在宅ワークだけでなく、会社でのデスクワークでも簡単に取り入れられるストレッチ方法について、詳しく解説したいと思います。
デスクワークによる悪影響

デスクワークで不調になるのは肩や腰だけではありません。あまり体を動かさないことで姿勢がゆがみ、胃腸に負担がかかることもあります。具体的にどういう不調が起きやすいのかを詳しく見ていきましょう。
デスクワークで首が疲れる理由

「ストレートネック」という言葉、聞いたことがあるでしょうか。本来S字に湾曲している首の骨がまっすぐに伸びてしまい、アゴが前に出たような状態になることです。

デスクワークだとうつむく姿勢や一点をずっと見続ける状態が続くため、首を前傾に伸ばす姿勢が続きます。その結果ストレートネックになってしまい、首が疲れてしまうのです。
デスクワークで肩が凝る理由

前述のストレートネックも肩こりの大きな要因のひとつですが、それ以外にもイスとデスクのバランスが悪い状態で作業をすることも肩こりの原因のひとつです。バランスが悪いまま作業を続けると肩に負担がかかります。負担がかかったまま長時間同じ姿勢で作業をすると、負担による緊張や疲労が蓄積し、肩こりに繋がってしまうのです。それ以外に目の疲れなども肩こりの原因となります。
デスクワークで眼が疲れる理由

パソコンやスマホの画面を長時間見続けると、目を動かさない状態が続きます。そのことでピント調節をする筋肉がずっと緊張状態に陥り、目のかさつきや疲れなどに繋がってしまうのです。また、仕事でストレスや緊張が続くと自律神経が乱れ血流が悪化してしまうことがあります。その結果目の筋肉が疲れたり涙の分泌量が減り、目が疲れてしまうという場合もあるんです。
デスクワークで腰が痛くなる理由

長時間座り続けると、上半身の重さが全て腰に乗った状態が続くことになります。そのため、立っている状態よりなんと40%以上も腰の負担が増えるといわれているんです。(ナッケムソン「姿勢の変化による椎間板内圧の変化」より抜粋)

背中を丸めて作業をしたり腰を丸める姿勢だとさらに負担率が上がります。そのため座る時間が長いデスクワークは腰痛になる可能性が高いのです。
デスクワークで足が痛くなる(むくむ)理由

足、特にふくらはぎの筋肉は血液を心臓まで送るために非常に重要な働きを持っているのはご存知でしょうか。デスクワークで足を使わなくなり足の筋肉が弱まれば当然その働きも弱まりますよね。その結果血液が下半身にとどまりむくんでしまいます。その上長時間座り続けることで太ももやお尻をずっと圧迫している状態に。そのため血液がさらに下半身に停滞し、むくみの悪化を助長してしまうのです。

こうしてみると、デスクワークで慢性化しがちな不調の原因はほとんど「長時間同じ姿勢を取り続けること」や「体を動かさないこと」です。そのためストレッチをして体を動かすことは、不調の原因を取り除くことに充分役立つのです。
短いストレッチでも効果はあるのか?
会社に居ながらできるストレッチ
ストレッチすることは体の不調予防につながるということは、充分ご理解いただけたと思います。では早速会社に居ながら手軽にできるストレッチ方法をご紹介していきましょう。
首のストレッチ①首の付け根ストレッチ

ストレッチ内容 | 首の凝り解消と背中の筋肉の緊張をほぐす効果があるストレッチで、座ったままできる便利な方法です。 |
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所要時間 | 3分 |
手順説明 |
・左手で頭の右側を抑え左側にゆっくり倒します。 ・倒したまま数秒間カウント ・続いて同じく右手で頭の左側を右方向に倒してください。 ・最後に全体的に頭を回転させて完了。 |
注意点 |
・首を倒すときは無理に手で引寄せず軽く手を添える感じで行うこと。 ・痛みを感じず気持ちよい程度が目安です。 ・倒した時にアゴを軽く動かすと背中の筋肉もほぐれます。 |
ココがポイント
首のストレッチ②ストレートネック改善ストレッチ

ストレッチ内容 | パソコン画面に向かい首が前に突き出さないよう予防するストレッチです。長時間同じ姿勢で縮んでしまった首の前側を柔軟にします。 |
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所要時間 | 5分 |
手順説明 |
・左手で右側の鎖骨を抑え左脇をしっかり締めましょう。鎖骨と大胸筋を固定する感じです。 ・正面を向いたまま首をゆっくり後ろに倒しあごを天井に向け首のほかの筋肉が先に伸びないよう固定してください。 ・後ろに倒したままの姿勢で首を左に倒し5回深呼吸。反対側も同じ手順で繰りかえします。 |
注意点 |
・痛みを感じるときは無理しないでください。 ・ストレートネックはアゴが前に出やすいので引きながら姿勢を正しましょう。 |
ココがポイント
眼のストレッチ①目のツボマッサージ

ストレッチ内容 | 眼の疲れを取るツボは、眼頭にある「晴明(せいめい)」と呼ばれるツボです。血流が改善され、疲労回復・ドライアイに効果があります。 |
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所要時間 | 3分 |
手順説明 |
・眼がしょぼしょぼしたり疲れた時に、眼頭を親指と人差し指でつまむように押してください。 ・心地よい痛みが感じる程度に力を入れ5秒間カウントして指をパッと離します。 |
注意点 |
・ツボを押す間は深呼吸を繰り返しリラックスしましょう。 ・ネイルが長い人は肌を傷けないように気を付けてください。 |
ココがポイント
眼のストレッチ②ウィンクストレッチ

ストレッチ内容 | 長時間パソコンを見続けるとまばたきが減り乾燥や目の奥の疲れが起こりやすくなります。緊張状態が続く目の筋肉のコリをほぐすストレッチです。 |
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所要時間 | 1~2分 |
手順説明 |
・左右交互にウインクを10~20回繰り返し、スピードを速くしてさらに10~20回行います。 ・次はゆっくりで10~20回、最後はぎゅっとと力を入れて目を閉じてぱっと開く運動を5回続けてください。 |
注意点 |
・反動をつけずに自然な動きを意識すること。 ・呼吸は止めず眼鏡は外してストレッチしましょう。 |
ココがポイント
肩のストレッチ①チェストアーム

ストレッチ内容 | 肩こり予防のストレッチです。イスに座ったままできるストレッチなので、わずかな休憩時間でも行うことができます。 |
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所要時間 | 5分 |
手順説明 |
・椅子に浅く腰かけて背中側で両手を組みます。そのままの姿勢を3秒間キープ。 ・鼻から息を吸い息を吐きながら肩甲骨を寄せるように胸を開くように伸ばしてください。その姿勢を15~30秒間キープします。 ・組んだ手首を10~20㎝ほど引き上げゆっくり呼吸を続け手を放して深呼吸しましょう。 |
注意点 |
・激しくストレッチせずふわっと軽く腕を上下させること。 ・気持ちよく感じる程度に続けてください。 |
ココがポイント
肩のストレッチ②二の腕ストレッチ

ストレッチ内容 | 肩こりの悪化、腕のしびれを防ぐため、肩回りの筋肉のコリをほぐし腕の動きを軽くするストレッチです。 |
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所要時間 | 3分~5分 |
手順説明 |
・右手を上にまっすぐ伸ばし肘をまげて背中側に下ろします。左手で右の肘を掴んで左肩方向へ引寄せましょう。 ・このままの姿勢を20~40秒キープしてください。反対側も同じ要領で繰り返します。 |
注意点 |
・普段あまり使わない筋肉のストレッチなので最初は痛みを感じると思いますので、無理しないこと。 ・気持よく二の腕が伸びる状態を維持しましょう。 |
ココがポイント
腰のストレッチ①オチョエクササイズ

ストレッチ内容 | 座り続けて負担のかかった骨盤をほぐすストレッチです。女性の場合、骨盤の歪みは婦人科系のトラブルを招くこともあります。ストレッチできちんと対策をしましょう。 |
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所要時間 | 5分 |
手順説明 |
・両足を肩幅に開き両手を腰に当てます。 ・上半身は固定して腰だけで「8」の字を描くように回転。フラフープをするような感じです。 ・オチョとはスペイン語で数字8という意味、骨盤の柔軟と腹筋運動にもメリットがありますのでぽっこりお腹の解消にもなります。 |
注意点 |
・腰痛が激しい場合はこの運動は控えましょう。 ・腹筋を意識するとさらにメリットがあります。 |
ココがポイント
腰のストレッチ②腰のひねり運動

ストレッチ内容 | 上半身の重さが全てかかった腰の負担を一度ゼロにするために行うストレッチです。腰のコリがほぐれ、腰痛予防に効果があります。 |
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所要時間 | 3分~5分 |
手順説明 |
・イスに座ったままの姿勢で腕を頭の後ろで組みます。 ・上半身を左右にゆっくりひねり腰回りの筋肉が伸びていることを確認しましょう。 ・次は上半身を前後にゆっくり倒す運動です。イスに浅く腰かけて背中を丸めおへそを見るように前に倒し、後ろは天井を見るつもりでストレッチします。 |
注意点 |
・座ったままよりも立ったほうがさらに腰痛改善にメリットがあります。 ・イスの動きを使いストレッチすることも可能です。 |
ココがポイント
足のストレッチ①座ったままの足ストレッチ

ストレッチ内容 | 普段動かさない足のマッサージです。足首やくるぶしを動かすことで、リンパの流れをよくする効果があります。 |
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所要時間 | 3分 |
手順説明 |
・イスに座ったまま靴を脱ぎつま先を床につけてかかと立ちになります。 ・かかとを浮かせたまま足首をぐるぐる回転させてください。 ・次は足の指の間に指を入れて手で足首をストレッチしましょう。 |
注意点 |
・むくみはリンパの流れが低下することが原因なので血行を改善するためにふくらはぎも合わせてマッサージ。 ・仕事中は足首を動かしやすいサンダルやスリッパがオススメです。 |
ココがポイント
足のストレッチ②つま先立ちストレッチ

ストレッチ内容 | デスクワークであまり動かさない足を動かし、血液循環を促すストレッチです。むくみ改善や便秘・腰痛予防に効果があります。 |
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所要時間 | 3分 |
手順説明 |
・立った姿勢でバレリーナのようにかかとを合わせてつま先立ちになります。その姿勢で体幹を整え両手をまっすぐ上に伸ばしましょう。 ・上半身を左に倒し側面が伸びていることを確認。5秒カウントして反対側も同じくストレッチ。 |
注意点 |
・ふくらはぎの筋肉の運動と腹筋にも同時に効果があります。 ・ふらふらしやすい人はまず立つ練習からはじめましょう。 |
ココがポイント
こうしたストレッチで体をほぐし、デスクワークで起こりがちな体の不調を予防しましょう。
眠気を吹き飛ばすストレッチ

ランチ後の午後、疲労が蓄積していると強い眠気に襲われることもありますよね。そういうときに有効なストレッチをご紹介します。
眠気覚ましストレッチ手順
- 首を全体的に回転させて目を覚ます
- 椅子から立ち上がりつま先立ちになる
- つま先立ちになったかかとをすとんと落とす
たったこれだけ? と思うかもしれません。しかしこのストレッチは筋肉を動かして交感神経を優位にすることができます。眠気を吹き飛ばすのには非常に効果的なストレッチと言えるのです。
さらに詳しく
もし会議中などで自由に立つことが難しい場合は、座ったまま片足ずつ前に伸ばして上半身を前方に倒し腰や背中のストレッチをすることもオススメです。
まとめ
もちろん仕事は大切です。しかしミスせず効率的に作業するために、リラックスした時間を作ることもまた大切なのです。パソコンを長時間を使う方は、タイマーをセットするなどして定期的にストレッチする時間を作りましょう。
しっかりメリハリを作り、効率的な仕事をするために体を動かしましょう!